「データ経営」を武器に4000億円のアウトドアウェアの空白市場を切り拓く
デジタルはどうでもよくて
「データ経営」を武器に4000億円のアウトドアウェアの空白市場を切り拓く
というタイトルでお話がスタートします。が…
今日のお話はDXってことでDXのお話なんですが、どっちかっていうと、Dはですね、デジタルはどうでもよくて、Xの方ですね、あのトランスフォーメーションの方も簡単にできなくてですね。やっぱり時間がかかる。
「データ経営」を武器に4000億円のアウトドアウェアの空白市場を切り拓く 開始50秒後…
アジェンダを開始する前に一刀両断
時間をかけて、じっくりといろんなことを考えて計画を進めてきました。最終的な目標は、私ども今年で創立40年で、40年間ですね無競争で、ブルーオーシャン市場にいた。競争したことがないんで、競争したら負けという仮定を置いていた。
私ども今日はアウトドアに行くわけですが、(どこでも良かったんですけど、)小さなマーケットで100年間競争優位を築くと、いうのも興味あります。
スタートからデータ経営どうでもいい発言が出ましたが、『データを活用して』トランスフォーメーションを成功させてきた方法が秀逸なのでご紹介いたします。
トランスフォーメーションを中心に
時間がかかる
ワークマンの紹介と土屋さんの紹介
2012年まで 三井物産(総合商社)に在籍
やっていた事
自分のやりたいことをやりたいように
学んだこと
100億円位の新規事業はすぐに作れるが商社にとってはゴミ
目指そうと思っていたこと
100年の競争優位、ロングスパンを作る
2012年入社→2年間何もやらなくて良いと言われて、会社をじっくり観察
2014年時点でのワークマン状況
強み
- 作業服小売でダントツNo.1(ブルーオーシャン市場)
- 標準化で小売りトップ
- 店舗数・品揃えの標準化、定価販売
脅威
- 作業服市場の取りつくし
- 1000店舗、1000億が限界
- ネット企業
- Amazon/モノタロウの脅威
2014年の『中企業態変革ビジョン』
- 新業態の開発
- 顧客拡大で新業態へ向かう
- 『データ経営』で新業態を運営する
- 5年で社員年収の100万円のベースアップ
経営目標と達成手段
経営目標=客層拡大のみ
達成手段は2つだけ
- 達成手段1
- 成果の出ることしかしない
- →しない経営
- 達成手段2
- 変化に強い組織
- →データ経営
しない経営
中でも『社員にストレスを与えない』のキーフレーズは、データ経営の所でもどこでも何度でも繰り返し言っている事なので、かなり重要なフレーズだと理解ました。
時間を短く切れば切る程成果が出ないというのも重要なポイントだと理解します。(短く工程を刻んで管理したくなるのが管理職なんですけどね)
『らしくない』ことはしない(弱い分野で競争しない)
価値を生まない事はしない
変化に強い組織(データ経営)
データに基づき、現場で全社員が考えて改革する
アフターコロナでもあり、朧気に分かっているのが現場で、現場の事は現場が一番知っている
ので…
『ほうれん草はしないでくれ』
????
ここの視点が面白いですね
現場で仮説を立てて、正しいと思った物だけ上に報告する。
報告して判断してから実験するのではなく、現場で勝手に実験する、数値を正しく判断して横展開する
センサーとして情報を上げるのではなくて、現場でエッジコンピュータのように実験してから上に報告するという意味ですね。
同じ製品を見せ方を変えて売る
目標がいっぱい・短い期間だと
目標がいっぱいだとなかなか達成できない
期限が短いと改革できない
企業文化から変える
改革の経路依存性
客層変えよう!だけでも何も変わらない
昔は10も20も目標があった
目標は1つ、時間は問わずにやる
32年間作業服だけだったのが、アウトドアに変えるのは大変
目標は『客層拡大』の1つだけを時間をかけて確実に達成を目指した
変えた企業文化(70%)
- 少ない目標
- 目標は『顧客拡大』の1つだけ、時間をかけて必ず達成
- 強みの拡張
- Operational ExcellenceにProduct Innovationを追加
- 他社が5年間追いつけないPB商品の追加
- お客様が定価を見ないで買う
- 本気度
- 改革の報酬を先払い(5年で100万円の賃上をコミット)
- 幹部の任用条件は改革マインドと『データ活用力』に
- 決算日を1週間延ばした(GW前→GW明けに)
強化した企業文化(30%)
- 固定化
- しない経営
中期計画のジレンマ
1年目 社長が旗振って勢いよくやる
2年目 ちょっと秋風が吹く
3年目 口にするのもおぞましい
4年目 忘れてリセットして新しい計画を考える
企業改革で有名な外山さん『3年で事業改革は無理・変わらない』
経営が本気かどうか
経営の本気を見せる
5年で100万円の賃上げをコミット
社員は経営の背中を見ている
『改革マインド』・『データ活用力』
これは私の仕事じゃない
と言える国が伸びている
これを社長に言える会社にする(怖い)
Death by Amazonを避ける
- 定価でAmazonに負けない
- PB品は定価で負けないーデータ経営で在庫削減
- 配送費でAmazonに負けない
- 店舗在庫活用の店舗受け取り通販→宅配費を不要に
- 販促費をかけない
- SNSの評判だけで売り切る
Amazon対抗は902店舗を活かしたClick&Collectしかない
将来は宅配を捨てて店舗受け取りに集中(割り切り)
アパレル業界ブランドマップ
WORKMAN Plusのアパレル業界に対する優位性
- 低価格
- 粗利が36%でも高収益
- 継続製品
- PB品は4年間継続販売
- 値引き販売率2%以下、色/柄のみ毎年変化
- 共通製品 ユニセックスで女性にも・残っても翌年定価販売できる
PC製品の生産方式
1年目は少な目に作って様子見
2年目以降で製品を改良して、プラスマイナス15%精度の需要予測で生産
ワークマンのマーケティング手法
マーケティング | しない経営 | データ経営 |
製品開発(60%) | ダントツな製品以外作らない 5年間競争優位のある商品のみ作る | 需要予測で適正生産 在庫回転を上げる |
新型店舗(20%) | 見せ方を変える 無駄な事はしない | 新業態の標準化 店舗発注の完全自動化 |
SNS販売(20%) | イベントやアンバサダー起点のマーケティング | データで検証して販促効果を高める |
役員 6人→3人 上が余計な事しなくて、風通しがよくなった
リストラ・降格人事無しで達成
時間を味方にする(急がない)
人材の限界=会社の限界で良い
アンバサダーマーケティング
役割 ワークマンの製品開発への参画と製品情報発信
前提 ワークマン製品の熱いファン
報酬 無償
※インフルエンサーは有償だが、影響力大、、、だが一過性
SNSの評価が一番購買につながる
見返り 製品情報の優先提供、メディア露出(WIN-WINの関係)
アンバサダー商品
ソロキャンパーねこまるさん
最近の一覧にいないのは、、、何かあったのでしょうか。
製品開発もアンバサダーさんの意見はそのまま採用
ワークマン女子
ソーシャルとリアル店舗をつなげるConnected Storeをつくる
特番戦略
7時間=44億円の媒体価値のある特番に露出
TokyoGirlsCollection
Tokyo Girls Collectionの主催がマイナビさんになっていた方が衝撃です
データ経営戦略
- 仮説→相関関係の発見→実験→因果関係→改善・改革→標準化
- 現場で社員がExcelで
- 現場で実験した事を数字で忖度せずに議論(人格否定にはならない)
- 上は地域現象か、全国展開するかを決めるのが上の役割
補足:
上司は『意見を変えるのが良い上司』
私(上司)の言う事は50%間違ってるから注意
東京から地方の加盟店に来られると嫌がる
DX経営を達成するためのステップ
神頼み・カリスマ経営から再現性の高いExcel経営に
DXレベル | 名称 | 状態 |
レベル4 | 再現性の高い エクセル経営 | データ活用が文化として根付いており、数字に基づく合理的決定が現場を含め社内の各所で、実務に変化を与える深いレベルで行われているため、市場の変化にアジャイルに対応できている。 |
レベル3 | 幹部任せの 軍隊経営 | データ活用に長けているのが一部の専門人材のみであるため、意思決定のブラックボックス化や、現場で活用できない机上の空論的な分析が行われる危険がある。 |
レベル2 | 意思決定が遅い 民主主義経営 | データ収集は行われるが、意思決定に影響を与える深いレベルでの分析はできず、時間をかけた結果ありきたりな結論にしか到達しない。 |
レベル1 | 神頼み カリスマ経営 | データ活用が行われておらず、経験と勘に頼った経営判断が下されるため、変化への対応力と成功の再現性に乏しい。 |
を参照に作図
サプライチェーン
- 情報優位者が善意で決めた物を受け入れる
- 善意でやってもらって良いほうに決める
- 納品された瞬間に全量買い取る
メーカーの営業マンは、お客様につくので、SVも加盟店につくを許容している
キャリアパス
2年間店舗に入れる
3週間目から店長
業績はどうでも良い
コミュニケーション能力が伸びたか否かしか見ない
業績管理していない会社…本当にやってない
トレーニングストアなので、会社の業績を1年生2年生に依存させない
3年目以降は分析の研修ばっかりやってる
12年4月、3か月後にデータ分析研修
その間データ研修ばっかり
14年~ BIソフト入れる
研修の後テスト取らせる→90点以上取らせる
社長も参加
社員育成効果
- 「数字で考える」ことのメリットは、社内コミュニケーションの質を高める
- 上司や社外へのコミュニケーションの根底に数字が加わる
- 事実に基づいて問題解決できる(変革する力)
- 投資に対する利益率を意識して行動できる(儲ける力)
- を身につけ、「利益をもたらす自走人材」へと進化
分析ソフト活用度検証
アクセス数上位のSV
地区平均の製品販売数を記憶していて、自信をもって店長を説得
アクセス下位のSV
コミュニケーション力
店長と交流を深め、まず気に入られようとする
信頼関係で店長に提案して実行してもらう
ワークマンの企業理念
Purpose(存在意義) 『機能と価格に、新基準』を実現し、生活者の『可処分所得』を増やします
Dream(めざす姿) 『声のする方に、(後追いで)進化する』
※お客アマの声をデータで検証してから採用する
Belief(価値観、行動指針) → 100年間の競争優位を創出する
しない(ストレスのない)経営
データ経営
しない経営とは(参考)
頭のいい人ほど早いうちに諦める
情報システムを完璧に作らない
作ってから使う
作ってから修正する
急がないけど必ずやって下さい
頑張るって言わない
マニュアルに書けない
ストレスを与えない(結構何度も言ってますね)
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書籍もお勧めですよ